日々是好日

今日はどんな日 行政書士ユウコの徒然メモ

同性婚訴訟にみた婚姻制度とは

3/17、札幌地裁で同性婚の不受理が「違憲」と判断されました。
同性婚訴訟」は全国5地裁で原告は28名に上っていて、本日の札幌地裁はその初めての判決とのこと。新聞記事によると、裁判長は同性愛者と異性愛者の違いは人の意思によって選択・変更できない性的指向の違いでしかなく、受けられる法的利益に差はないといわなければならない。よって異性愛者が受ける法的効果の一部すら同性愛者が受けられないのは差別的な扱いとして「違憲」とした。法的効果(法的保護)の一例としては、相続の権利や配偶者控除の利益が挙げられる。原告からの損害賠償請求については、この差別的な扱い(違憲状態)について、国会がただちに違憲状態を認識するのは容易ではなかったとして、立法措置を取ってこなかった立法不作為の違法性を認めず、原告の請求については棄却している。

海外では約30の国・地域で認められている同性婚。日本では認められるようにはならないのではないか。認められるようになったとしても、あと20年以上かかると思っていたので、地裁でとはいえ、「違憲」判断が出たことには驚きました。さらに、実は他にもっと驚いたことがあります。この裁判で国側が「婚姻制度の目的は、夫婦が子を産み育てながら共同生活を送る関係に法的保護を与えるものだとして、同性婚を認めないことは差別にはあたらない」と主張していたこと。

新聞各紙は上記、国側の主張「婚姻制度の目的は・・・」の部分を書いていますが、テレビのニュースでは伝えられていなかったため多くの方の耳に入らずに残念。子のいない夫婦は「婚姻制度の目的」に合致していないから法的保護の対象ではないのか?子を産んだけど育てていない夫婦はどうなのか?子を産まなかったけど育てている夫婦は?子を産み育てているけど共同生活を送っていない夫婦は?この「婚姻制度の目的」に合致していない夫婦におかれても、法的効果を受けられています。この裁判の中で国側が婚姻制度の目的を定義(?)したことで、国は同性カップルの婚姻を受理せずに法的保護を与えないことは差別であること、そして立法措置をとっていないことが立法不作為であることを表すことになり自ら墓穴を掘る結果となってはいないでしょうか。

また、ひと月ほど前になりますが2/16東京地裁では、同性同士の不倫も民法上の「不貞行為」だとして慰謝料の支払いを命じた判決もあり、「同性」つながりではこちらのほうも注目です。

今日の写真は白木蓮

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木蓮が満開をむかえています

2021.03.17