日々是好日

今日はどんな日 ユウコイモの徒然メモ

えっ?まだあったの?

30分の隙間時間ができると、散歩がてら近所の図書館に立ち寄り、新聞を5紙ほどをざっと見ます。限られた時間でも、世の中の空気感が立体的に見えてくるので、私にとっては大切な習慣です。

 

その中で、目に留まった見出し。

義理チョコ もう無理
働く女性「渡したくない」85%
職場で集金「カツアゲされたよう」

 

「もう無理」は、退職代行サービスの 退職代行モームリ を意識した表現でしょうか。

それにしても――
え、え、えっ?まだあったの?
令和の時代に、まだ続いていたのか……というのが率直な感想です。


渡したくないのに、空気を読んで参加する
半ば強制的に集金される
断ると「協調性がない」と見られる不安がある

これは、贈る側にとって十分な心的負担です。


受け取る側も、望んでいない慣習であればストレスになり得ます。
(義理チョコが欲しいという方もいらっしゃるのでしょうか)

形式的なお返し、気を遣うコミュニケーション、そして出費。
しかも、お返しにはあれこれ文句や評価がつくこともある――

 


会社として、職場で行われるこうした慣習を「任意」という言葉で曖昧にせず、廃止を含めて明確な姿勢を示すこと。それは、ハラスメント予防や心理的安全性の確保という観点からも、重要な取り組みではないでしょうか。

あるいは、私が目にした記事のように、「全員が納得できる解決策」を検討し、仕組みとして実行する。
こうした対応が、心理的安全性の高い職場文化を育てていくのではないでしょうか。

2026.2.20

普通はこうでしょう?の前に

業務の中でも、日常のふとした場面でも、「普通はこうでしょう?」という言葉に出会うことがあります。

でも、その“普通”はあなたや私の普通であって、他の人の普通とは少し違うことが多いのかもしれません。
育った環境、受けてきた教育、所属するコミュニティ、国籍、世代、価値観。それぞれが違えば、「当たり前」も当然違うでしょう。

私はこれまで国内外のいくつかの職場で働いてきました。
日本の職場であっても、それぞれの職場でルールや文化は大きく異なります。

だからこそ、就業規則や明文化されていない“暗黙のルール”にも自然と目が向きます。
休憩の取り方、休憩室の使い方、時間の感覚、報告のタイミング。このように、日本で育ってきた人同士であっても、働く職場によって、「普通」や「当たり前」は異なります。

私が業務で関わる外国から来た方々も、それぞれの「普通」を持っています。
似ている部分もあれば、まったく異なる常識に出会うこともあります。

だからこそ、日本の「当たり前」を最初から丁寧に伝えることが大切だと思います。法律やルールは、違いがあることを前提に、安心して共に過ごすための土台です。

「普通はこうでしょう?」という衝突にエネルギーを費やすのは、心身によくありません。

感覚ではなく、仕組みで整える。
それが、安心して働ける環境への近道だと感じています。
2026.2.14

「かわいそう」と言う前に知ってほしい テレビ番組から垣間見えた特定技能制度

2月6日放送の「ガイアの夜明け」を見ました。
テーマは「日本の物流を救う!外国人ドライバーを現地で発掘」というもの。

人手不足が深刻な物流業界の現状と、特定技能「自動車運送業」で働くドライバー候補をカンボジアで育成し、受入れ企業に入社するまでの過程が丁寧に紹介されていました。

番組を見ながら、家族がふと口にしました。
「こんなに頑張っているのに、お給料は安いんでしょ? かわいそう。」

このひと言に、外国人労働者をめぐる誤解が凝縮されているように感じました。

 

日本では、労働関係法令をはじめ社会保険関係法令などは外国人労働者にも同様に適用されます。国籍による差別的な取り扱いは、労働基準法第3条で禁止されています。

 

特に「特定技能」の在留資格を取得するためには、同じ業務に従事する同等の経験や技術を持つ日本人と同等以上の賃金・待遇であることを証明する必要があります。
「外国人だから安い賃金で働かせる」ということは、制度上できない仕組みです。

 

さらに「特定技能」では、受け入れた特定技能1号外国人に対し、法令で定められた10項目の生活支援を行うことが、受入れ企業に義務づけられています。自社でその支援体制を整えられない場合は外部委託が必要となり、結果として日本人を雇用するよりもコストがかかるケースも少なくありません。

 

 

「外国人は、日本人より安いから雇われている」
――少なくとも、特定技能制度のもとでは正しくありません。――
もしそのような運用が行われている場合、その企業は法令違反をしているということになります。

 

このような番組をきっかけに、制度の正しい理解と、法令を遵守し誠実に外国人労働者を受け入れている現場の取り組みも広く知られてほしいと改めて感じました。

2026.2.8

高齢ドライバーの次は?変わる”心配の対象”

親が運転免許を自主返納する前は、交通事故のニュースを見るたびに胸がざわつきました。「加害者は高齢ドライバーではないか」「もし自分の親だったら…」と考え、親に免許返納を促す責務と不安を常に感じていました。

そして、無事に親の免許返納が済んだ今。

交通事故のニュースを見て胸がざわつく理由は、別の不安に変わりました。

仕事の影響が強くありますが、その不安は、「加害者は外国人ドライバーではないか?」ということです。


外国人ドライバーが道路を走る時代に

近年、労働力人口の減少を背景に、自動車運送業でも外国人材の受け入れが始まっています。2024年3月に自動車運送業が特定技能の対象分野に追加され、実際に企業から「受け入れを検討したい」という相談が増えています。外国人ドライバーはこれから確実に増えていくでしょう。

 

特定技能でドライバーになるには

制度上、特定技能でドライバーとして働くためには、ざっくりですが、

・日本語能力を証明する試験の合格

・自動車運送業分野の特定技能評価試験に合格

・日本の運転免許を取得

が必要です。受け入れ側にも要件があり、制度として一定の基準が設けられています。

 

ただし、同じ「日本の免許」でも前提が違う


ひとことで「日本の運転免許取得」と言っても、方法によって前提が異なります。

① 日本の教習所に通って取得
→ 日本で暮らしている外国人が、日本のことをよく知って取得するケース

② 外国の免許を日本に切り替える(外免切替)
→ 母国の運転文化をベースに免許を切り替えるケース
この外免切替については、2025年10月に制度が改正され、厳格化されました。

前者①であれば、日本の交通ルールや安全意識、日本の習慣や文化など、日本での生活体験を重ねながらの免許取得ですが、後者②は、ドライバーとして働くために来日する場合も多く、日本での生活経験が浅いまま運転業務に入るケースが考えられます。出身国や地域ごとに交通事情・安全観念、文化・習慣に差異があることを踏まえると、受け入れ企業として慎重に検討すべきポイントが残ります。

特定技能の受け入れ分野は複数ありますが、自動車運送業分野では、安全管理や事故時の責任体制を含めた運用面をどのようにしていくか、受け入れについては、他の分野以上に慎重な判断が求められる分野だといえるでしょう。

「本当に運転を任せられるのか」
不安は、社会の変化のサイン


交通事故のニュースを見て抱く不安が

高齢ドライバー → 外国人ドライバー
へと変化したということは、社会が静かに動いているサインだと思います。

制度は動き、道路を走る人の構成も変わりつつあります。

”怖い” ”危ない” という感情だけではなく、どの制度で、どの条件で、誰が運転しているのかという点についての理解とあわせて見ていく必要があると思います。

2026.1.28

入り口を間違えないで

2026年が始まりました。本年もどうぞよろしくお願いいたします。 

私は普段、外国人の方を雇用する企業様からご相談をいただくことが多いため、「外国人」に関する制度や報道には日頃から目を通しています。昨年は後半特に、2025年10月の在留資格「経営・管理」の改正に関するお問い合わせが一気に増え、本年は行政書士法改正の影響もあり、引き続きご相談をいただいています。
 
外国人の在留資格は複雑で、実際に触れていないと分かりにくい部分が多い制度です。外国人に関するニュース記事やSNSコメントを目にするたび、制度や実態について「誤解を生みかねない」と感じることがあります。

そのような中で最近、国民健康保険への加入回避を目的としたいわゆる「脱法行為」に関するニュースに触れました。これは外国人関連とは別領域の話題ですが、法律に関わる業務をしている立場として、「自分が大切にしたい姿勢は何か」をあらためて考える機会になりました。

私は制度の趣旨に沿った運用を支援する立場であり、制度の「穴」を利用した、いわゆる脱法的な方法をすすめることはしていません。実際のお問い合わせの中には、「他の専門家からはこの方法で大丈夫だと言われた」というものもありますが(本当にそう言われたのかは分かりません)、そんな時は「その方に申請をお願いしてください」とお伝えしています。

制度の趣旨にあわない運用は、もしも申請段階で表面的・一時的に成立したとしても、その後に企業様と外国人双方にリスクを残し続けます。企業側が制度の入り口を誤ってしまうと、企業側だけでなく、外国人本人の将来や在留に関わるリスクが生じてしまいます。

外国人の方の雇用を検討する前に制度を整理しておくことで、後からの負担やトラブルを大きく減らすことができます。ご不安がある企業様は、どうぞ採用前の段階からお気軽にご相談ください。

2026.1.20

ネットショッピングからの「○○ペイで返金します」に要注意|体験談

【はじめに】
この出来事は、今年の夏の終わりに実際に私が体験したものです。


正直に言いますと、この体験談を書くのは少し恥ずかしいのですが、同じような被害に遭う方が一人でも減ればという思いで書きます。

私は自分では、ある程度のITリテラシーがあると思っていましたし、仕事柄、「自分が被害に遭わないため」というより、「親を含めて周囲の身近な人が被害に遭わないように」という意識で、消費トラブルの事例にも関心を持ってきました。それだけに、まさか自分自身が被害に遭うとは思ってもいませんでした。


後から調べて確認したのですが、国民生活センターで注意喚起が出されています。私がひっかかったケースも、手口が非常によく似ています。
 

 www.kokusen.go.jp

【わたしの被害内容】
支払った金額:数千円台 (○○ペイ決済)
商品:届かなかった
ショップとの連絡:途中から取れなくなった

【被害にあうまでの流れ】
① 商品を探したきっかけ
母に頼まれたある商品を購入しようと思った。
現行モデルでは希望の色が無く、検索すると、前のモデルと思われる、希望の色の「未使用品」が、定価よりお安く販売されているショップを見つけた。

② 購入手続き
サイト自体は見慣れないものだったが、会社概要のページに会社名の記載があることから、疑うことなく購入手続きを進めた。

支払いはクレジットカード番号を入力したが反応がなく、別のカードでも同様だった。(※この2枚のカードは後日不正使用が確認され、利用停止の手続きをした

ふと、画面に○○ペイ決済の選択肢があることに気づく。普段は○○ペイを使わないが、クレジットカードで支払えないため仕方ないと思い、表示されたQRコードを読み取り、支払いを完了させた

【不審に感じなかった連絡】
数日後、ショップからメールが届いた。差出人名はショップ名ではなく個人名で、一般的な日本人名とは言いづらい珍しいもの。本文には、

「現在一時的に欠品しております」

「ご注文をキャンセルさせていただきます」

「代わりを受け入れていただけますか?」

「あなたはいかなる差額を支払う必要はありません」

といった全体的に不自然な日本語の文章と、LINEのQRコードが添えられ、手続きについてはLINEで連絡するように書かれていた

通常であれば、不自然な日本語を見て怪しいと気づくはず。しかし、私は、仕事柄、日本語を母国語としない方々と日常的にやり取りをしているため、この程度の不自然さを「外国語として日本語を使って仕事をしているのだろう」と受け止め、違和感を抱かなかった。

メールに商品の入荷時期が不明とあったため、LINEで連絡をとり返金を希望することにした。指示された通りに○○ペイを操作して相手に支払いリクエストを送るが、返金がうまくいかないとのこと。そのため、「返金担当者」とされる別のLINEアカウントを友だち登録するようにとのこと。指示通りに登録を行うと、「返金担当者」から連絡があり、カメラをオフにしたビデオ通話を求められた。「返金担当者」は、日本語会話ができる人が担当しているのだろう。実際、相手を安心させる話し方ができる人である。

【恐怖を感じた瞬間】
「返金担当者」との通話では、「返金手続きがうまくいかない」「あなたの○○ペイの設定がおかしい」などと言いながら、LINE通話の画面共有機を使って私のスマホ画面を確認し、○○ペイ設定変更の指示を次々と出す。「返金担当者」は、税金の関係から○○ペイでないと返金できない、わかる?等と言いながら、私に画面に数字を入力するよう繰り返し求め、指示は次第に早口になった

そして○○ペイに銀行口座を連携させるよう、何度も指示してきた。さらに、私のスマホを画面共有している中でネットバンクの画面にログインするように言われた時、私はこの時になって(やっと)強い恐怖を感じた。私がネットバンクにログインを拒否すると、「返金担当者」の態度は急変、通話は終了した。

結果として、返金はされなかった。


【相手の目的】
今回の件で一番怖いと感じたのは、相手の目的は、私から数千円の商品代金を取ることではなく、返金のための操作と言いながら、数字を入力させることによって送金させることと思われること。

国民生活センターが注意喚起している「ネット通販で商品が届かないとして、○○ペイで返金すると言われ、操作を指示される詐欺」と重なる内容である。

【新手の詐欺】「○○ペイで返金します」に注意!-ネットショッピング代金を返金するふりをして、送金させる手口-(発表情報)_国民生活センター

私は普段○○ペイを使用しないため、クレジットカードや銀行口座からのオートチャージ設定をオフにしていた。また、「返金担当者」が早口で操作の指示をする中、私は、以前○○ペイで受け取りをした経験があったことを思い出し、ネットバンクにログインする前に「今の設定で受け取りができないはずはない、何かおかしい」と気づくことができたのは幸いだった。


【おわりに】
今回の体験以降、インターネットで買い物をする際の「お店選び」には、これまで以上に注意するようになりました。あわせて、○○ペイの利用は止めました。


この体験談が、どなたかの被害を防ぐ一助になれば幸いです。
長文をお読みいただき、ありがとうございました。
2025.12.25

「バウチャーの期限があるからスーパーへ」で知った、シンガポールのバウチャー制度

シンガポールに住む妹との何気ない会話の中で、彼女がこんなことを言いました。
「バウチャー(金券)の期限がもうすぐだからスーパーに行ってくる。何に使おうかな。」

話を聞いてみると、シンガポールでは、
物価上昇による生活への影響を和らげるため、政府がシンガポール人世帯に対して電子バウチャーを配布しているそうです。
この支援はコロナ禍以降も継続的に行われているとのことでした。

バウチャーにはいくつか種類があり、例えば、

  • 屋台(ホーカー)で使えるもの(約2万円相当)
  • スーパーで食料品や日用品に使えるもの
  • 家電の購入や水回りの修繕、リフォームなどに使える「環境バウチャー」と呼ばれるもの

などがあります。

スーパーや身近な屋台といった、日常生活に密着した場面ですぐに使える点はとても実用的ですし、使用期限が設けられていることで、支援が使われずに終わってしまうことを防ぐ仕組みになっている点も、よく考えられていると感じました。

一方、日本にもさまざまな支援制度はありますが、対象や内容が分かりにくく、「実際に支援を受けているという実感が持ちにくい」と感じることがあります。

その点、シンガポールのバウチャーは、「いつ・どこで・何に使えるのか」が明確で、生活の中で自然に意識され、使われています。

支援制度は「あるかどうか」ではなく、「意識されて生活に届いているか」、そして「早めに消費が生まれ、地域経済に波及しているか」が大切なのだと、改めて考えさせられました。

2025.12.20

年賀状の代わりに、こちらのブログで「元気です」

今年も年末が近づいてきました。

近年、個人でも企業でも年賀状を出さない動きが広がっています。若い方には「年賀状って何?」という話かもしれませんね。

以前、私は、ひとりがいくつもの業務を兼任するような小さな会社で働いていたことがあります。この時期は、毎月の通常業務に、年末調整や賞与があり、ただでさえ慌ただしいところに、年賀状や年末年始のご挨拶用ノベルティグッズの選定と数決めなどが加わります。

今では名刺管理ツールなどで送り先のチェックも簡単になっていると思いますが、当時はデザイン決めから、社内各部署への発送先の確認(氏名や役職名の変更、喪中期間の有無など)を経て、発送準備まで、最後の最後まで追われることもしばしば。

そんな折、年賀状の宛先リストにあった大手企業の役職者の方から、
「環境配慮の観点から年賀状を廃止します。また、私宛の年賀状は今後お送りいただかなくて結構です」というご連絡をいただきました。

今では珍しくありませんが、当時、私が勤めていた小さな会社の取引先であったその方のご対応には、本当に感動しました。形式にとらわれず、相手を思いやる姿勢に、尊敬の気持ちを抱いたのを今でもよく覚えています。

私も、お相手に返送の手間やお返しの負担をかける行為はできるだけ控えたい――そう思うようになりました。

私の場合は、年末年始のご挨拶と、「元気でいますよ(生存確認)」になるものが、こちらのブログだと思っていただけると嬉しいです。

来年もどうぞよろしくお願いいたします。
2025.11.10

教室で広がる語彙とつながり

月に2回、中国語の会話教室に通い始めました。業務に必要な勉強も十分に追いついていない状況ではあるのですが、あえて違うところに頭を使う時間をつくることで、仕事にも良い刺激になるのでは?と思ったからです。「どうして中国語の会話教室に?」というと、正直なところ、何語でもよかったのです。

仕事柄、ネパール語ベトナム語タガログ語ウズベク語など、覚えたい言語はたくさんあります。でも、ある日たまたま図書館で目に入った1枚のチラシ――「北京出身の中国人女性講師による、初中級レベルの会話教室」――このフレーズに心が動かされました。
自分の中国語レベルにちょうど合いそうで、何より教室が徒歩圏内にあるという手軽さが、始めてみようと思えた大きな理由です。

語学を「先生から習う」のは、実に15年ぶりのこと。
中国で働いていた頃、勤務先が週1回、外国人社員向けに用意してくれていた中国語講座(水曜・仕事終わりの夜)に参加していました。その時間は、社内の他部署・他国籍の同僚と交流できる、貴重な機会でもありました。
また、社外では近所の中国語スクールにも通っていて、ウイグル出身の太陽のように明るい先生には、家電の買い替えの際にお店に同行してもらうなど、授業以外でもたくさん助けてもらったことを思い出します。

久しぶりの教室は、やはり少し緊張しました。でも、得意なことも世代も生活環境も異なる方たちと会話することで、自分の中にはなかった表現や単語に出会えることに、大きな喜びを感じました。

たとえば先日。
私は自宅の網戸に衝突してしまい(網戸が閉じていることが見た目ではわからなかった)、設置したばかりだった網戸は破損。眼鏡は曲がり、全身がむち打ちのような状態で鎮痛剤が手放せない……。その出来事を教室でお話すると、「ぶつかる」は「撞」であることや、「撞」を他の場面で用いる例、また、私が衝突した網戸は窓にあるものではなく、玄関なので「纱窗」よりも「纱门」が適切であることなど、ひとつの出来事から、他の方の経験に基づいた語彙や表現が次々と広がっていきました。

事故後の対応や体の痛みについても、先生や受講生の方々が温かく気遣ってくださり、言葉を学ぶだけではない、人の温かさに触れる時間が、痛む身体と心に沁みて、とても有難く感じました。

こうした思わぬ日常と語学が結びつく瞬間や、他の受講生の方々とのやりとりを通じて語彙が広がっていく体験は、アプリや個人レッスンでは得がたいものです。
自分にはない経験に基づく表現をエピソードとともに学び、インプットとアウトプットが自然にでき、それがひとつの体験として自分に記憶されること。これは、対面で複数人が集まる教室だからこその魅力だと感じています。そして今、語学だけでなく思考の幅も広がっているのを実感しています。

2025.07.19

なんでもかんでもQR

先日、友人の引越しに立ち会いました。
クレジットカード払いを希望した友人に対して、引越し会社のスタッフさん(感じの良い素敵女子)がさらりとひと言。

「こちらのQRコードにアクセスしてお支払いをお願いします」

——あっ。

その友人は、セキュリティリスクの観点からスマホを持っていません。

その場で咄嗟に私のスマホを取り出し、QRコードを読み取って、友人のメールアドレスを入力。順調にカード情報入力まで進んだものの、次に表示されたのは「本人確認のための確認コードをメールで送ります」の案内。

そう、確認コードは画面に入力した友人のメールアドレス(hotmail)に届きます。そこで、私のスマホで友人のhotmailを確認しようとしたのですが...私のスマホのセキュリティ機能が、友人のアカウントでのログインを”異変”と捉えたのか、追加のセキュリティ認証を要求。突破しようと試みたものの、どうにも時間がかかりそうで断念。

友人のパソコンは...というと、引越し作業の真っ最中でネット接続機器とともに梱包済み。つまり、ネットが使えない=メールが見られない=支払いに必要な確認コードを確認できない。

確認コードを見るために、そこからはまるで謎解きゲームか、無人島でサバイバル生活でもしているかのようなひと幕。
詳細は省きますが、持っている他のツールを駆使して、テンポよく、確実にトライして、無事にコードを確認して……。ようやく支払い完了。ホッ。

最近では、飲食店でもQRコードで注文が当たり前となり、社会全体がスマホ前提で動いているのはよく分かっています。
しかも、スマホをただ「持っている」だけでは足りず、ある程度使いこなせることが求められています。

友人と新居に向かい、先に到着していた引越し会社のスタッフさんに、尋ねました。

「もしスマホを持っていなかったら、支払いはどのようにしますか?」

記入用の紙があるとのこと。その紙が○○(場所)にあって、取りに行って・・・と説明してくれました。つまり、スマホがない場合でもクレジットカードでの支払いは可能ではあるけれど、例外的な対応になるようです。

 

……そしてその翌々日。

私自身が病院で診察を受けることになり、受付を済ませたところ、

「問診票の入力は、こちらのQRコードからお願いしますね」と。

わっ、またキタ、QR

スマホを取り出してアクセスすると——

まず診察の目的を文章で入力します。
入力した文章から単語を抽出するのか、キーワードに応じて選択肢が表示され、痛みの種類と程度を選び、発生時期は単位(日、時間、週間、か月)を選択して数字を入力します。さらに、痛む箇所については、選択肢から選ぶほか、スマホ画面に表示された身体のイラストをタップして記録していきます。

ひとつひとつの操作に、かなりの集中力と時間が必要です。

そして——こんな時に限って、スマホの充電残量が心許ない。

「お願いだから最後までもって」と思いながら、画面をタップ。私は比較的PCやスマホは得意な方ですが、具合の悪いときのこの作業は、思いのほか体力と気力を使います。

そして周囲を見渡すと、ご高齢の方も多くいらっしゃる。
スマホを持っていない人、操作に慣れていない人、具合が悪くて手元が思うように動かない人もいる中で、これが「当たり前」とされていることに、ふとモヤモヤを感じました。

そんな気持ちのままですが——

さて、今日は何回QRコードスマホをかざすことになるでしょうか。

2025.07.13