5月、山梨県にある宿坊に一泊お世話になりました。
日常から少し離れて、静かな空間で自分と向き合う時間。
そこで出会ったのは、「足るを知る」ということの大切さ、そして人間の心に潜む108の煩悩についての教えでした。
ご住職から教えていただいたのは、その中でも代表的な3つの煩悩――
貪り(むさぼり)の心
怒りの心
わがままの心(他人に迷惑をかける)
「むさぼり」という言葉を耳にしたとき、私は意味がすぐにわからず、ご住職にたずねました。すると、「欲が強く、今あるものに満足せず、もっともっとと求めてしまう心のこと」と教えてくださいました。食べ物にしても、持ち物にしても、すでに十分あるのに「もっともっと」と欲しがる――
そうした心が周囲との調和を乱し、結果的に自分自身も苦しめるのかもしれません。
思い返せば、皆でひとつのことに取り組んでいるときに、ひとりだけ多くを得ようとする人がいたりします。
あの空気感。見ているこちらも、何とも言えない気持ちになります。
私自身も、そうならないように日々気をつけたいと、心から思いました。
後日、憧れの大先輩の女性とお話する機会があり、雑談の中で、私は宿坊で学んだ3つの煩悩についてお話ししました。
1つ目は「むさぼりの心」
2つ目は「怒りの心」
そして3つ目。私は「わがままの心(他人に迷惑をかけること)」だと覚えていたのですが、その先輩は即座に「3つ目は“嫉妬”よ!」とおっしゃいました。
確かに「嫉妬」も大きな煩悩の一つ。
周囲でもその感情があらわになると、空気が重くなり、嫌な気持ちになるものです。
「足るを知る」こと。
そして、自分の中の煩悩と向き合い、少しずつでも手放していくこと。それが、心穏やかに、生きていくための大切なことだと、改めて実感しました。
今回の宿坊では、オーストラリアから訪れていた、同世代の女性との素敵な出会いもありました。
彼女は、かつて日本で英語の先生をしていたことがあり、日本の文化にもとても詳しい方です。彼女から出てくる仏教や日本文化についての質問は、日本人である私にとっても答えるのが難しいものばかりで驚かされました。
今回英語でのコミュニケーションを妹夫婦に頼りきってしまったけれど、いつかまた彼女と再会したとき、お互いの文化や人生について、もっと深く語り合いたい―― そんな思いが心に芽生え、英語の勉強を少しずつ再開しようと思えたことも、宿坊での出会いがくれた贈り物のように感じています。
そして、いま、日々の暮らしの中で、つい、もう少し食べたくなったとき。つい、必要以上に物が欲しくなったとき。そんな瞬間に、心の中で立ち止まり、問いかけてます。
「これは“むさぼりの心”じゃない?」
名づけて、“むさぼりの心チェック” 私の新たな習慣です。
2025.06.22