日々是好日

今日はどんな日 行政書士ユウコの徒然メモ

ご購入いただき、ありがとうございました。

東京メトロの帰宅ラッシュに揉まれながらスマホを眺めていると「ご購入いただき、ありがとうございました。」というタイトルのメールが届いた。また迷惑メールかと思いながらもメール文面を見てみると、これまでの迷惑メールには見たことのない巧妙さです。こりゃなんだ?と不安に感じたのは赤色太字にした部分(ファーストネームとメールアドレス)が私と同じであることです。メールアドレスを知られているからメールが来るわけなのですが、ではなぜファミリーネームが私のものではないのか?

届いたメール(実際に届いたメールはXとした箇所が全て表示されていた)

●● 〇子 様

この度は商品をお買い求めいただき、誠にありがとうございました
ご注文内容は以下の通りです。
◆ご注文内容
─────────────────────────────────
[ご注文日時]        2021/12/06 19:11
[受注番号]          XXXXXXX
[お問い合わせ番号]  XXXX-XXXXXXXX
[メールアドレス]   XXXXXXX@XXXXXXX.com
[商品名]    〇〇〇〇
[数量]    1
[商品代金] 2,995
[送料] 756
[手数料]  0
[お支払合計金額]    3,751
[お支払い方法]      後払い(コンビニ支払、郵便振替、銀行振込)
※配送方法が宅配便でコンビニ支払を選択された場合で、
XXXXXXXX会社による与信審査を通過しなかった場合は、
お支払方法を自動的に代金引換に変更してお届け致します。(代引手数料は無料)

◆お届け先ご住所
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[お名前]   ●● 〇子
[フリガナ]   ●●●● 〇〇コ
[郵便番号]   〒XXX-XXXX
[ご住所] XX県XX市XXXX町XXXXX-XXX
[電話番号]  090XXXXXXXX
◆お届けについてのご希望
─────────────────────────────────
[お届け日] 翌営業日に発送いたしますので一週間程度でのお届けとなります。
[お届け時間]  指定なし
※ご希望に添えない場合がございますので、予めご了承下さい。
※このメールは送信専用のアドレスから送信しております。
※このアドレスには直接返信しないようにお願いいたします。
今後ともご愛顧賜りますようよろしくお願い申し上げます。
ー●●お問い合せ窓口●●ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
〒XXX-XXXX XXX県XXX市XXXX区XXXXXX
株式会社XXXXXXX
電話:0120-XXX-XXXX (9時-16時45分(年末年始を除く))
お問い合わせフォーム:https://・・・・・・・
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
不審なメールのURLには不用意にクリックしないというのは、情報セキュリティ対策の原則です。親切に[お問い合わせ窓口]の案内があるのも逆に怪しいなんて思って、お問い合わせフォームURLにアクセスするのは控え、[お問い合わせ窓口]に明記されている会社名をネットで検索してみました。すると、この会社は実在しており、購入したとされる商品名〇〇〇〇も実在することがわかりました。誰が何のためにこんな悪戯メールを送信するんだろう?詐欺にしては金額が小さい。詐欺にも薄利多売作戦があるのか?でも、お支払い方法が[着払い]・[クレカ払い]ではなく、[後払い]になっているのでお金を詐取する目的ではなさそう。このメールのことは一旦忘れて寝ることにしたのですが、翌朝、やはり放置するのは気持ちが悪いし、他の人も同様に困っているかもしれないので国民生活センターに事例として報告しておこうと思いました。

www.kokusen.go.jp


電話に出られた方にメール送信元の会社名を伝えると、その会社は有名な会社のよう。健康食品の会社ですよね?と言われましたが、私は知らない会社でした。この時点で私は、国民生活センターで把握されているやっぱり怪しげな会社なんだと感じました。国民生活センターのご担当者は、●● 〇子さんがメールアドレスを誤って入力しているかもしれないと仰いましたが、私のメールアドレスは奇妙な感じなので、誤入力は無いと思うと担当者に言ったところ、メールアドレス誤入力はよくあるとのこと。誤入力すると注文確認メールが届かないので、同じ商品を複数回注文してしまうそうです。●● 〇子さんが注文した商品〇〇〇〇がたまたま高齢の方が買う傾向のものだったこともあり、メールアドレス誤入力は十分に考えられることだとも仰いました。なるほど、さすが、国民生活センターの方は、短い電話の会話の中で商品名も情報としてしっかり把握して対応されているんだな、電話してよかったなと思いました。

そして、この国民生活センターの方から健康食品会社に問い合わせていただくことになり、私はその回答を待ちました。

すると、やはり結果は、●● 〇子さんは実在する人で、実際に〇〇〇〇を注文した人とのこと。ご自身のメールアドレスを誤入力し、私のメールアドレスを入力していたことがわかりました。

私も、国民生活センターからの回答を待つ間に考えて気づきました。私のメールアドレスは自分のフルネームを[英語ではない外国語]で表記してアレンジしたもの。〇子さんのファミリーネームをその外国語で言うと、私のファミリーネームと同じ表記になることがわかったので、●● 〇子さんはメールアドレスを間違えて入力しただけなんだとわかって納得しました。自分のメールアドレスの文字列は奇妙な感じだと思っていましたが、全くそうではなく単純明快。自分の認識が誤っていたことにも気づきました。

そして、ネットショッピング時にメールアドレスを2回入力する意味、そして、メールアドレス入力をコピペしないでくださいと明記されている意義もあらためて理解しました。注文手続上必要であることのほか、●● 〇子さんがメールアドレスを誤入力したことで●● 〇子さんの個人情報、注文した商品名も私に届きましたし、私にとっては謎のメールが届いたことで余計なことに時間と頭を使い、気持ちの良くない時間を過ごしました。また、私のメールアドレスが実在するものであることを健康食品会社に知らせる結果にもなりました。(国民生活センターの方が健康食品会社に対して私のメールアドレスを保有しないよう既に伝えてくれていましたのでそこは安心しましたが)

インターネット通販を法律的に考えると、契約が成立するのは買い手の「申込み(買います)」に対して、売り手の「承諾(売ります)」の通知がお客さんに到達したときとされていますので、今回、●● 〇子さんはインターネット上の画面で注文した後、「注文確認メール」が届かなかったと思われます。今回の●● 〇子さんのように注文確認メールが届かない場合は、お店に問い合わせをしたほうが良いでしょう。

<契約の成立時期について(備忘録メモ)>
民法第97条1項
民法改正(令和2年4月1日施行)
⇒改正前の526条1項、527条が削除された
■ 電子消費者契約民法の特例に関する法律(令和2年4月1日施行)
電子消費者契約及び電子承諾通知に関する民法の特例に関する法律(平成13年12月25日施行)」が民法の改正に伴って改正(法律名も変更)され、改正後「電子消費者契約及び電子承諾通知に関する民法の特例に関する法律(令和2年4月1日施行)」
⇒法律名:「及び電子承諾通知に関する」の部分が無くなり、改正前の第4条が削除された

ネットショッピングが日常化して、慣れとともに不注意が増えているかもしれません。注文時、内容をよく確認するよう気をつけたいものです。
2021.12.12